出会い系サイトでは、買春(男性が女性を買う)や売春が頻繁に行われているのは出会い系サイト経験者ならすでにご存知だと思います。そんな売春や買春は、やってしまったからといってすぐに捕まる訳ではありません。多くの売春は見過ごされていますが、売春防止法があるのでやって良いとも言えません。
また、出会い系サイトで公に売春の募集をするのも法律で禁止されています。そのため、隠語で売春を募集する人が多いのが現状。つまり、出会い系サイトでの売春は禁止されてるけども必ず逮捕される訳ではないと言えます。
今回は本当に売春って犯罪にならないのか?どういう場合が犯罪になるのか?法律のスペシャリスト東京弁護士会所属の清水陽平先生にもご協力いただきお答えいただくことができましたのでご紹介します。→先生の回答はこちら
主な得意分野
ネット中傷の削除・発信者情報開示請求、損害賠償請求・刑事告訴、ネット炎上対応、ストーカー対応、ペットトラブル関係(店舗側)
経歴
2004年3月 早稲田大学法学部 卒業
2006年4月 最高裁判所司法研修所 入所
2007年9月 最高裁判所司法研修所 修了(60期)
2007年9月 都内某法律事務所 入所
2008年9月 都内コンサルティング会社 入社
2010年11月 法律事務所アルシエン 開設
この記事を読んで、弁護士 清水陽平先生に相談をしたいと思った方は、法律事務所アルシエンの公式HPまでぜひお問合せください。
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出会い系サイトでの売春は成人でもグレー
未成年を買春するのはもちろんアウトですが、成人を買春するのも実はグレーゾーンです。なぜなら、売春防止法は、売春自体は処罰対象にしていないためです。
売春が処罰対象ではない以上、男性も通常捕まりませんし、出会い系が摘発される事例も売春防止法違反ではなく、もっぱらサクラサイトのようなところで、詐欺を理由にしています。
ただし、売春を呼びかけた人も売春防止法では処罰の対象となるため、女性も捕まる場合があります。それを踏まえて、男性と女性が捕まる場合と捕まらない場合は以下の通りです。
男性が捕まらない場合 | 男性が捕まる場合 |
---|---|
女性の同意ありで性行為やそれに同等の行為をした場合 →売春防止法で取り締まるのは売春を斡旋した業者(出会い系サイト)なので、売春そのものを取り締まる訳ではないため | 女性の同意なく性行為やそれに同等の行為をした場合 →強姦や強制わいせつ罪になる 買春したいと提示板に堂々と書き込んだ場合 →不特定多数が閲覧できる提示板で売春を呼びかけると売春防止法などに引っ掛かる |
男性が捕まるのは、女性に無理やり性行為させる場合と、買春を呼び掛ける場合です。売春そのものはダメだとしながらも、その行為は処罰対象ではないのです。
女性が捕まらない場合 | 女性が捕まる場合 |
---|---|
売春した時 →売春自体を処罰する法律はないため | 掲示板であからさまに出会い募集の書き込みをした場合 →不特定多数が分かる場で売春を募集するのは、売春法で禁止されてるため |
女性の場合、日本の法律だと売春から守る立場になります。売春させてる元締めは処罰されるけども、働かせてる女性は守るというスタンスです。そのため、売春したからといって処罰される訳ではありません。
しかし、売春をしたいと募集するのはダメなんです。「募集はダメでも売春は見逃すのってよく分からない…。」とあまり納得しないかもしれませんが(笑)それが法律です。
ようは、金銭の受け渡しがあっても自由恋愛なのかどうかは本人にしか分からないので、処罰されにくいって事なのです。
- 売春の募集はアウト
- 結果的に売春してなくてもアウト
- 売春自体はグレー
警察に捕まる、任意同行は成人の売春であまりない
未成年を買春して捕まったという事例は複数ありますが、出会い系サイトで成人女性を買春して捕まったとの逮捕例はインターネットで検索してもあまりありません。
しかし、会員制サイトで援助交際を募集し、3万円で行為に至った男性が処罰されたとの事例はあるとの情報はあります。そのため、絶対に大丈夫!とも言えません。
また、逮捕とまではいかなくても任意同行された人もいるようです。任意同行は逮捕ではなく、あくまでも捜査に協力するためのものですが、任意同行されると高い確率で逮捕されます。そのため、任意同行された人が逮捕された可能性はあります。
運営に書き込みを削除される可能性が高い
援助交際の書き込みをして処罰されるよりも書き込みを出会い系サイトの運営に消される可能性の方が高いと考えられます。なぜなら、出会い系サイトの運営は売春を募集する書き込みを放置してはいけないと売春防止法で決められてるからです。
大手出会い系サイトなどの優良サイトはサイト内パトロールに力を入れてるサイトが多く、悪質な書き込みは削除しています。そのため、警察に見つかる前に運営から削除され、援助交際募集の書き込みが続くとアカウント停止や強制退会される可能性は高いです。
警察の潜入調査はほぼ心配なし
警察が出会い系サイトに潜入して売春を摘発してるというシーンはマンガでもありますし、現実世界でも警察が出会い系サイトに潜入調査してるとは考えられます。
実際に、出会い系サイトで売春した男性が調査に協力して欲しいと警察から言われたとの体験談はあります。その男性は、サイト内でのやり取りを警察に知られていたそうです。
しかし、警察が潜入捜査で成人女性を買春してる男性を摘発するとは考えにくいです。なぜなら、すでに書いたように売春の行為自体は処罰の対象にならないからです。
また、成人同士の売春よりも未成年の売春の方が問題視されてるため、警察が取り締まるとしたらそっちの方です。体験談にあった男性も、警察から「あなたに罪はありませんが…」と言っていたようで、警察に逮捕される心配はなさそうです。出会い系サイトでの警察の潜入捜査はありえるけども、成人同士の売春は調査対象になりにくいと言えます。
- 売春の書き込みは逮捕よりも削除される可能性あり
- 成人同士の売春での逮捕例はほとんどない
- 警察の潜入捜査はある可能性ありでも、成人同士の売春は無関与の可能性高し
未成年だと話は別ですが、成人同士ならあまり心配はいりません。
出会い系サイトで売春したら本当に犯罪にならないのか?弁護士の清水陽平先生に聞いてみた!
ということで今回はネット系の問題に強い法律事務所アルシエンの弁護士清水陽平先生にご協力いただきお話を聞くことができました。先生よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。
出会い系サイトでは売春の募集などは禁止されていますが、実際に出会い系で会った人を売春(金銭のやり取り)した場合は罪に問われるのでしょうか?
売春防止法3条は「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。」とされていますが、売春自体は処罰対象とされていません。 もっとも、売春をする目的で「公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること」については、「6月以下の懲役又は1万円以下の罰金に処する」とされています(売春防止法5条1号)。
なるほど売春自体は処罰対象ではないにしろネット上など公衆が目に触れるような出会い系内の掲示板だとしても募集することはやはり罪に問われることがあるんですね。
はい、出会い系で売春の募集をすることは、これに該当することになるため、罪に問われるおそれがあります。
それでは男性で未成年を買春して捕まったという事例は複数ありますが、出会い系サイトで成人女性を買春して捕まったとの逮捕例がないのはなぜでしょうか?
売春行為自体が処罰対象ではないからです。 もっとも、未成年については、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」により、児童買春が処罰対象になっています(同法5条)。そのため、未成年売春については逮捕等されるおそれがあります。
未成年は完全にアウトですよね。ではもし出会い系サイトで未成年と知らずにマッチングして(親の年齢確認書などを使い)援助交際した場合はどうなりますか?
処罰対象になり得ます。 「未成年とは知らなかった」という言い分は、通常、なかなか通りません。 身分証をきちんと確認していたにもかかわらず、それが偽造等されたもので、かつ、確認したことの証拠をきちんと残しているといったことが必要になると想定されます。
なるほどですね。たとえ運営側のミス?で児童が登録されていたとして、マッチング後に援助交際した場合は「18歳以上だと思った」や「知らなかった」では済まされないんですね。これは気を付けたいですね。
はい、およそ言い分は通らないのではないかと思われます。
では売春は現行犯でしか逮捕されないと聞いたのですがそれは本当でしょうか?
現行犯かどうかというのは無関係です。 上記のとおり、そもそも、売春自体は処罰対象とされておらず、それゆえ逮捕されないというだけにとどまります。 売春を勧誘したり、周旋したりすることが処罰対象となっていることから、これをしている状況であれば現行犯として逮捕されることはあり得るといえます。
清水陽平先生ありがとうございました。やはり売春自体は処罰対象ではないものの公衆が触れるようなSNSやネット掲示板で売春を勧誘したり、周旋したりすれば処罰の対象になり得るとのことでした。
今回お話を伺った清水陽平先生は出会い系サイトによるトラブルはもちろん、ネット上での中傷削除・発信者情報開示請求、損害賠償請求・刑事告訴、ストーカー対応なども得意としている弁護士さんなので、相談してみたい方は是非下記の公式HPをチェックしてみてくださいね。
\ネットのトラブル・詐欺に強い/
援助交際は隠語でやり取りしてる
売春の募集をしたら処罰の対象になるのは男性も女性も一緒ですし、売春の募集書き込みを放置したら運営は処罰されます。
となると、残された道は隠語で援助交際の募集をするしか道はありませんよね。そこで、書き込みで見られる隠語をいくつか紹介します。
援助募集の隠語
条件あり、割り切り、お願いあり
→ 金銭の支払いありという意味
助けてくれませんか?、サポート、サポ、SP
→ 援助して欲しいとの事
意味が分かる人だけ募集
→ 「ホテルで涼みたい人、意味が分かる人だけ募集」のように、直ホテルに行く=援助の意味が分かる人だけ返信が欲しいという事
パパ、パパ希望、P希、神待ち、神希望
→ パトロン募集、援助して欲しいの意味
円、?
→ 援助募集、円女、?女は援助して欲しい女性
値段の隠語
お米
→ お金
苺
→ 1万5,000円
2(荷、弐)、3(参)
→ それぞれ2万円、3万円
U吉
→ 1万円、一万円札の福沢諭吉、WU吉は2万円
ホ別、穂別
→ ホテル代別。ホ別苺はホテル代とは別に1万円という意味
未成年の隠語
JK、JC、JS
→ それぞれ女子高校生、女子中学生、女子小学生
アンダー
→ 未成年の意味(未成年との売春は処罰の対象です)
JK3、LJK
→ 高校3年生の意味。誕生日によっては18歳
その他
打つ、撃つ
→ セックスする
ゴ有り
→ ゴムあり、ゴムなしはNS
LH
→ ラブホ
口割り
→ フェラ
JOJO
→ 処女
他にも隠語はいくつかありますが、代表的なのが苺やホ別です。売春したい人はやっていくうちに分かると思いますし、援助交際や売春したくない人はこれらの隠語には注意しましょう。
援助交際は未成年さえ手を出さなければ大きな問題はない
売春はグレーゾーンです。しかし、未成年じゃないなら売春したからといってすぐに捕まる訳ではありません。未成年(18歳未満)さえ手を出さなければ大きな問題はないということですが、それでも相手が年齢を偽っていたり知らなかった場合は罪に問われる可能性がありますので、男性は注意したいところですね。